院長ブログ
(Blog)子宮がん検診受けていますか
子宮がん検診を2年に一回は受けましょう
お住いの自治体から子宮がん検診のお知らせが来ていませんか?
子宮がん検診は自治体からの子宮がん検診無料受診券があれば、
無料で受けられるがん検診です。
今年度(令和4年度)の期限は令和5年3月31日の金曜日まで
となっています。
当院では文京区在住の方を対象としています。
文京区のホームページに詳細がございます。
2月に入り令和4年度のがん検診期限も迫ってきております。
終了間際の3月には混雑する可能性もありますのでお早めにご予約の上ご来院ください。
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子宮がん検診には、
子宮頚部に生じる子宮頚がんと子宮体部に生じる子宮体がん(子宮内膜がん)の2つがあります。
各自治体が実施する子宮がん検診とは通常、子宮頚がんを指します。
年齢にもよりますが、継続する不正出血などを認める場合には、子宮体がん検診を追加することがあります。
子宮頚がん検診は20歳以上の女性を対象に、2年に1回の間隔で受けるように推奨されています。
子宮がん検診はどんな検診なのか?
子宮がん検診は2年に1回受けられる大切な検診機会となります。
でも婦人科に行くのはちょっと面倒、どんな検診をするのかわからなくて不安、という方も多いでしょう。
ここでは改めて子宮がん検診(ここでは子宮頸がんの検診)でどんなことをするのか説明したいと思います。
後半は検査の詳細になりますので少し専門的なお話になります。
診察の流れ
・問診票に生理の状態(最終月経、月経不順の有無、月経痛の有無、過多月経の有無など)
妊娠歴などを記入していただき、
その問診票をもとに医師から説明、追加の問診があります。
その後、診察台に上がり、医師の診察を受けます。
・視診では膣鏡(クスコ)という金属の器具を膣に入れて、子宮膣部を展開します。
この時、子宮膣部が人により、前方、後方、左右に変位しているため展開するのに苦労し
痛みや違和感を伴うことがあります。
・細胞診ではブラシ、スポンジ、綿棒などの器具を用いて細胞をこすり取ります。
こすり取るときに多少の痛み、違和感があります。
緊張して腹部に力を入れ過ぎると違和感が強くなりますので、できるだけリラックスして受けましょう。
また、少量の出血がおきることがありますのでナプキンをご用意ください。
※子宮膣部にはSCJ(squamo columnar junction 子宮頚部円柱上皮と扁平上皮の接合部)があります。また、SCJにも一次と二次がありますが、最初にできた一次SCJと現在、扁平上皮化が起きている二次SCJです。この一次SCJと二次SCJの間が移行帯(transformation zone)です。移行帯が無ければ、子宮頸管内外より、細胞をこすり取ります。なぜ、この移行帯から、細胞を採取するかというと、子宮がんの原因となる、ヒトパピローマウィルス(HPV)は主に、この移行帯に感染しやすく、前がん病変、がんを発生させるからです。外側の重層扁平上皮や子宮頸管の奥の円柱細胞には感染しにくいのです。
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細胞採取後のチェック
細胞採取の後 帯下(たいげ:おりもののこと)の状態を見て、痒みがある、不快な臭いがある場合があります。
痒みがある場合ではカンジダ膣炎やトリコモナス膣炎の可能性がありますので追加の検査と治療を相談します。
不快な臭いがある場合には嫌気性菌感染による細菌性膣症の疑いがありますので検査と治療の相談をします。
経膣エコー検査(経膣超音波検査)
当院では特別に必要な時以外、内診指による、内診は行っておりません。
経膣エコー検査は超音波を発生するプローベ(探触子)という器具を膣に挿入し、
超音波の反射を利用して映し出した映像から、
子宮の状態、附属器(卵巣と卵管)の状態、骨盤内の状態などを調べる検査です。
子宮頸癌、子宮体がん、子宮筋腫、子宮内膜症などを調べます。
また、卵巣がんや卵巣嚢腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの卵巣の異常も調べます。
検査では器具にゼリーを塗り、カバーをかけて使用します。
検査時間は5分以内ですが、多少の痛み、違和感があることがあります。
性交渉の経験が無い方には原則的には行いません。
※子宮がん検診の検査結果は3週間以内に出ます。
何か異常がある場合はお電話でご連絡させていただきます。
来院の上結果を受け取る場合は料金はかかりません。
郵送の場合は切手・封筒代として100円のご料金を頂戴いたします。
子宮頚部細胞診の調べ方
採取した検体から細胞をプレパラートに直接塗布する方法と液状検体として固定標本
を作製する方法があります。当院では直接塗布する方法を採用しています。
その後、染色を施して顕微鏡でスクリーニングして異常細胞の有無を判定します。
子宮頚部細胞診判定方法
細胞診の判定はベセスダシステムと呼ばれる分類法で行います。分類法は以下の通りです。
NILM:正常範囲の初見です。
ASC―US:軽度の異型扁平上皮細胞がみられ,良性悪性の区別はつかず、精密検査が必要です。
ASC-H:高度の異型扁平上皮細胞が見られ、悪性変化の可能性があり、精密検査が必要です。
LSIL:軽度の扁平上皮病変、軽度の異形成が見られ、精密検査が必要です。
HSIL:高度の扁平上皮病変、高度の異形成がみられ、精密検査が必要です。
SCC:扁平上皮癌が疑われ、早急な精密検査が必要です。
AGC:異型線細胞、悪性の可能性があり、早急な精密検査が必要です。
AIS:上皮内腺がんが疑われ、早急な精密検査が必要です。
Adenoca:腺がんが疑われます。早急な精密検査が必要です。
Other:その他の場合はの悪性腫瘍が疑われます。早急な精密検査が必要です。
検査結果で要精密検査の場合の対応
検査結果で陰性(NILM)以外は要精密検査になり、
コルポスコープ検査(子宮膣拡大鏡)が必要となります。
この場合お電話でご連絡させていただきます。
定期的に受けることにより安心だけでなく
他のお悩みにも対応できることもあります。
2年に一度の貴重な子宮がん検診の機会ですので是非子宮がん検診を受けることをお勧めします。