皮膚搔痒症|文京区の子宮がん検診・治療が受けられる産婦人科

院長ブログ

(Blog)外陰部のかゆみ2:皮膚搔痒症

皮膚が痒いのに見た目には異常がなく、かゆみの症状だけある疾患を皮膚掻痒症といいます。
皮膚症状を認めない痒みには全身に痒みが起こる場合と、外陰部や肛門周囲、頭部など局所的に起こる場合があります。特に、高齢者、妊産婦やHIV患者、慢性肝炎や肝硬変などの肝疾患、腎臓透析を行っている腎疾患の人に多いと言われています。
原因は多岐にわたります。全身のあらゆるところで痒みがでて、ずっと続くこともあれば、波があることもあります。夜間、痒みで眠れないこともあります。

原因
  1. 皮膚の乾燥
  2. 薬剤
  3. 内臓の疾患

1.皮膚の乾燥

1番多いのが皮膚の乾燥(ドライスキン)によるものです。
ドライスキンとは角質層の水分が少なくなり皮脂も少なくなることによって皮膚が乾燥した状態のことです。その結果、皮膚の防御機能が落ち、アレルゲンや微生物が入り込み、皮膚炎が起こり、更に痒みの神経が過敏になり、痒みを感じやすい敏感肌になります。
更に、この痒みに対して掻くことは痒みを誘発する悪循環になるので注意しなければなりません。

2.薬剤

オピオイドなどの麻薬製剤、ホルモン剤、利尿剤、鎮痛解熱剤、抗生剤など多岐にわたります。高齢者では多剤を服用することで痒みの原因となりやすく、注意が必要です。

3.内臓疾患

肝、胆のうの疾患、慢性腎不全や血液透析中の方、甲状腺機能異常などの内分泌疾患、血液の悪性疾患、内臓癌などが皮膚掻痒症の原因になります。身近では糖尿病、痛風、鉄欠乏性貧血などが挙げられます。

皮膚掻痒症の診断

皮膚掻痒症の原因で一番多いのはドライスキンによるもので見ための診断になります。
内臓異常による、痒みが考えられる場合には血液検査、画像診断等、各疾患の検査を行います。薬やサプリメントも原因となりますので、内服状況、生活習慣などを詳しく整理することも大切です。
種々の検査でも原因が特定されない場合には精神障害による可能性もあり注意が必要です。

皮膚掻痒症の治療

原因として多いドライスキンには保湿剤を使います。ヘパリン類似物質製剤(ヒルドイド)や尿素含有剤(ウレパール)などです。
効果が無ければ、かゆみ止め作用のある、オイラックス軟膏、レスタミンコーワ軟膏などを使用します。それでも効果が得られなければステロイド軟膏、かゆみ止めの飲み薬として抗アレルギー薬があります。
症例により、漢方薬も効果を示すことがあります。
黄連解毒湯、六味丸、当帰飲子、牛車腎気丸などです。
その他の治療:
保険適応の治療で改善が困難な場合には紫外線療法や抗不安薬などの保険適応外の治療もこころみられています。

皮膚掻痒症の予防、注意事項

日々のスキンケアが大切です。
乾燥は大敵なので室内の温度、湿度の管理にも注意します。
皮膚を清潔に保つためには毎日、入浴やシャンプーで汗や汚れを落とします。
熱すぎるお湯は皮膚を刺激します。強くこすることも皮膚が傷ついて痒みを誘発します。
ウールや化学繊維の肌着は痒みを誘発しますので木綿がお勧めです。
熱い食べ物、刺激の強い香辛料などは痒みを引き起こしますので注意が必要です。

かゆみと一つとってもたくさんの症例があることがお判りいただけたと思います。
外陰部のかゆみはなかなか相談しにくいこともありますが自分自身では判断しにくいものです。
感染症なのか、肌が弱いのか、乾燥しているのか・・・など原因により治療、処方は大きく変わります。
是非ご相談ください。

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